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【第1部】 第32話 若頭の悩みの種②

last update 최신 업데이트: 2025-07-25 18:01:24

 流華の祖父、大吾は自分の部屋でくつろいでいた。

 一人掛けのゆったりとしたソファーに深く腰掛け、葉巻に火をつける。

 窓から見える月明かりだけが部屋を照らす、薄暗い部屋の中。

 葉巻の煙を肺いっぱいに吸い込む。

 ゆっくりと煙を吐き出すと、大吾は闇夜に輝く月を眺め物思いにふける。

 すると、静けさを遮るようにノックの音が部屋に響いた。

「大吾様、こんな夜更けに恐縮ですが、少々お時間をいただけないでしょうか?」

 それは龍の声だった。

 妙に低く、緊張と慎重さが入り混じった声。

 さては、何か思い詰めているな。

 そう感じた大吾は扉に向かって声をかける。

「入れ」

 大吾の返答のあと、すぐさま扉が開いた。

「失礼いたします」

 龍は一礼すると音もなく部屋の中へと入ってくる。

 少しでも神経に障らないようにという龍なりの気遣い。こういう細やかな気遣いができるところも龍を認める要因だった。

 ただ、それ故に、少々考え過ぎてしまう難儀なところもある。と大吾は思っていた。

 大吾は真っ直ぐに龍を見据える。

「どうした? こんな時間に珍しいな」

「申し訳ございません。大吾様に聞いていただきたいことがありまして」

 龍の瞳の奥に、感情が見え隠れする。

 それを大吾は見過ごさなかった。

「……流華のことか」

 大吾の発言に、龍の眉がわずかに上がり、目も少し大きくなった。

「え……ええ。何故わかったのですか?」

 龍の問いに、大吾は大きな声を上げ笑う。

「おまえにそんな表情をさせるのは、流華しかいない」

「はあ……」

 ニヤリと笑う大吾を見つめ、龍は困った顔をする。

 龍自身、何の自覚もなかった。

「で、流華がどうした?」

「はい。お嬢とヘンリーのことです」

 龍が真剣な表情で次の言葉を発しようとした、そのとき、

「ああ、二人が両想いだと

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  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第1部】 第37話 観覧車、すれ違う想い①

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  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第1部】 第36話 龍と観覧車と約束②

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  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第1部】 第35話 久しぶりの二人きり①

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